2021-09-27

マインドフルネス

2020年の秋から2021年の年明けにかけて、International Mindfulness Center Japan(インターナショナルマインドフルネスセンタージャパン)が提供するマインドフルネスストレス低減法(MBSR、Mindfulness Based Stress Reduction 8week)のプログラムを受けました。私にとっては、なかなか有意義な内容でした。以下に大まかな内容を残します。興味のある方はご覧頂けると幸いです。

 

マインドフルネスとは

マインドフルネスという言葉を広めたのは、マサチューセッツ工科大学のジョン・カバットジン氏です。1979年に同大学の医学部内に、ストレス低減プログラムを実施するセンターを設立しました。そのプログラムは、東洋の思想や瞑想を始めとした技法を分かりやすく構成したことが特徴です。ちなみに鈴木大拙師や鈴木俊隆師の他、永平寺を開かれた道元禅師といった日本の禅の文化からも大きな影響を受けたと、その著書のマインドフルネストレス低減法で述べています。

マインドフルネス瞑想法では、今この瞬間の自分の心の動きや身体感覚に集中します。このことは釈迦さまが説かれた仏教で行われる瞑想においてその中核とされています。臨済宗や曹洞宗といった坐禅を中心とする宗派だけでなく、その他の宗派でも重要視されています。

日本で仏教といえば宗教というくくりです。瞑想や坐禅といえば僧侶の行う特別な修行と捉えられがちではないでしょうか。しかしながら、仏教はお釈迦様の四門出遊の故事からもわかるように人生の悩みに向き合い、やすらかに生きるきっかけを与えてくれます。誰にでもできて、ご自身の人生に役立てられるものではないでしょうか。

四門出遊とは、お釈迦さまが出家を決意するきっかけとなった出来事といわれています。彼がまだ太子だった頃、王城カピラヴァストゥの東西南北の4つの門から出かけます。それぞれの門を出たところで、老人、病人、死人、修行者に遭遇しました。老病死という逃れられない現実を目の当たりにしたときに、それらに捉われない普遍的な心理を求めたいという思いが起こったとのことです。

マインドフルネスを実践することにより期待される効果

 

注意集中力を高めることができる

注意集中するということは、この瞬間の1つ1つの自分の心の動きや身体感覚に目を向けることです。私たちは自分の興味のある事柄、例えばファッションやスポーツ、ギャンブル等に注意を向けることはよくありますが、今この瞬間に自分自身がどのように感じているかに注意を向けることは少ないように感じます。マインドフルネス瞑想法を継続することで、自分の緊張やストレス、リラクゼーションに気がつくための潜在的な能力を育み、自分の人生をコントロールする新たな力を養います。

 

ストレスをコントロールする

マインドフルネス瞑想を実践することで、自身の内側にあるストレスの原因となっている事柄を発見し、それらと同居しうまく付き合っていく方法を考えます。ストレスを人生の体験の1つと捉え、それに正面から向き合い対処していきます。

ストレスに苛まれないようにする1つの方法として、ストレスの原因となる出来事をシャットアウトしたりそれから逃げたりする方法もあるでしょう。しかしながら、そういった厄介な出来事は放置しておくとさらに問題が複雑化してあらたなストレスの原因となることが少なくありません。

私は以前企業の営業担当だった時に、問題を放置することで問題をさらに大きくしてしまう失敗をしました。本パッケージを購入しないと利用できないオプション商品を単体で販売してしまいました。大丈夫だろうと楽観的に考えていたのです。導入する段階で本パッケージを購入していないことが発覚。上司とともに取引先に謝罪に伺いました。結果として安価に本パッケージを購入してもらうことになり、自社に損失を出してしまいました。

 

自分と周囲の人に寛容になれる

私たちの思考の中で、理想と現実の戦いが常に行われています。達成したい目的に対する現在の自分に対して、どうすればよいのかを考え続け、時にはそのことにストレスを感じることもあるでしょう。マインドフルネス瞑想を実践し、自分の思考パターンを客観的に捉えることにより、理想と現実のギャップ対して必要以上に悩むことを抑制できます。

自分の思考パターンを知ることは、できていない自分を受け入れるきっかけにもなるでしょう。自分自身を許すことは、生活に安らぎをもたらします。また、自分に寛容になれば、他者に対しても寛容になれるかもしれません。

 

1人でもできるマインドフルネス入門

 

3分間呼吸法

マインドフルネス瞑想法とはなにかということを、少しだけ知るためのきっかけになるものです。最初に床でも椅子でも良いので座ります。目を閉じて、楽な姿勢で背筋を伸ばしたら、自分の呼吸に意識をもっていきます。この時に、呼吸をコントロールしようとしてはいけません。ゆっくり長く呼吸をしようとしたり、リズムよく呼吸しようとしたりせずに、ただ自然に任せます。時としてゆったりとした呼吸をしている場合もありますし、逆に荒々しく吸ったり吐いたりしているかもしれません。それらを気にすることなく、自分がその時にどのように呼吸しているかを観察します。これを3分間続けます。

 

3分間観察すると自分がどのように呼吸していたか分かりますし、自分の意識がどのくらい呼吸からそれて別のことを考えていたのかも分かります。トレーニングを積んでいなければ、多くの場合心は色々なことを考え移ろっているのではないでしょうか。これを3分から30分60分と続けていくことは簡単ではありません。

瞑想を通して自分の呼吸や心の動き、身体感覚を観察します。これは、この瞬間この瞬間に起こっている体験を知覚し、あるがままに受け入れるためのプロセスです。この瞑想は、浮かんでくる思考を無理やり消そうとしたり、普段とは違う特別な状態へ入ろうとしたりするものではありません。

 

呼吸に注意しながら、その間に何が起こるのか観察する

行うことは3分間呼吸法と同じです。呼吸を意識していると、様々な思考が浮かんできます。それはごく普通のことです。意識が呼吸を離れてしまっても、そのことを悲観する必要はありません。そうなったことに気がついたら、また意識を呼吸に戻します。これを繰り返し行います。意識を戻すたびに、注意集中力が訓練されていると考えると良いです。瞑想の時間を3分から5分、10分と伸ばしていきましょう。

少ない時間の瞑想でも、自分の思考を観察していると実に多くのことを考えていることに気がつくかもしれません。本日行う予定の社内プレゼンテーションのことをシミュレートしているかもしれませんし、昼食や夕食の献立を考えているかもしれません。このように私たちは常に様々なことを考えています。

意識を思考から呼吸に戻すことをトレーニングすれば、様々な思考に振り回されたり、心配事のために疲弊したりする時間を減らすきっかけになります。

3分間呼吸法と、呼吸に注意しながら、その間に何が起こるのか観察する技法は1人でもできる初歩的なマインドフルネス瞑想です。少ない時間で実践できますので、是非お試しください。

※このページはマインドフルネスストレス低減法を参考にしています

※次章では、様々な種類のマインドフルネス実践法を紹介します

 

令和3年9月24日

小原 良淳

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